こんにちは!ゆきみず(@yukimizu4972)です✨
今回は、債券ETF「AGG」についてまとめています。
「債券」とは、国や自治体・企業などが、投資家からお金を借りるために発行する有価証券のことで、投資の対象となる商品です。
また、目的に合わせて株式・債券などを詰め合わせたパッケージ商品を「投資信託」、証券取引所で自由に売買できる投資信託を「ETF」と呼びますね。
債券ETFは、証券取引所で自由に売買できる、いろいろな「債券」を詰め合わせた投資信託のことです。
今回注目している「AGG」は、債券ETFの中でもとても有名な商品です。
正式名称は、「iシェアーズ・コア米国総合債券市場ETF」。
世界最大の資産運用会社 ブラックロック社の債券ETFです。
ブラックロック社は、1988年ニューヨークに設立され、約30か国・70都市に拠点を配置しています。
運用資産残高 約698兆円(2020年3月末時点)で、世界でもトップクラスの規模を誇ります。
「AGG」の純資産総額も、2020年6月12日時点で741億米ドル以上(7.9兆円以上!)。
ケタ違いの大規模なファンドであることが分かります。
しかも、2020年5月末頃と比べても、基準価格はほぼ変わりないのに純資産総額は増えてきているので、人気の高さがうかがえます。
大規模なのに、さらに拡大し続けている「AGG」。
「初心者でも投資しやすい・鉄板の債券ETF」とも言われる人気の高さはどこからくるのか、「AGG」の概要や魅力・デメリットについて見ていきましょう。
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AGGとはどんな銘柄?
◆目標とするインデックス:LBUSTRUU
◆純資産総額:約700億ドル
◆保有銘柄数:8,034 (2020年6月11日現在)
◆経費率:0.04%
◆標準偏差:3.29%(2020年4月30日現在)
◆実効デュレーション:5.76年(2020年6月11日現在)
◆基準価額:119ドル(2020年7月25日現在)
◆配当金利回り:2.41%(2020年7月25日現在)
AGGの1口当たりの価格
AGGが連動を目指すインデックス LBUSTRUU は、米国の投資適格債券市場全体の動きを示す指数で、国債、政府関連債、社債などが含まれています。
AGGの純資産総額は741億ドル以上、さらに増加傾向で、「AGG」が人気の商品であることがうかがえます。
保有銘柄数は、8,034もあり、多数の優良銘柄に分散投資されています。
上位保有発行体
米国財務省、ファニーメイ(FNMA 連邦住宅抵当公庫)、ジニーメイ(GNMA 連邦政府抵当金庫)、フレディマック(FHLMC 連邦住宅金融抵当公庫)などの政府機関や政府系金融機関が上位を占めています。
保有銘柄の業種別比率
保有比率第1位は米国債、第2位の「モーゲージ・パススルー証券」は、発行体が政府系金融機関で、高い信用力があります。
残存年数
残存期間10年未満の銘柄が全体の80%近くを占めており、比較的短期の債券が多く、安全性が高いです。
信用格付
保有銘柄の70%近くに最高ランク「AAA」がついています。
発行体の大部分が政府機関や政府系金融機関であり、デフォルト(発行体が潰れる)リスクに対して高い信用力を持っていることが分かります。
また、保有銘柄第1位は米国債、残存期間10年以下の銘柄が80%を占め、信用格付最高ランクが70%近くという特長から、安全性の高い債券ETFと言えます。
さらに、こんなに安全性の高い商品なのに、保有のための経費率が0.04%とかなり低く抑えられています。
100万円投資したとしても、年間の経費は400円程なので、長期保有に向いている商品ですね。
「標準偏差 3.29%」は、1年間の値動きが±3%以内におさまっていることを表し、安定した値動きをすることが分かります。
AGG投資の魅力(3つ)
①安定した値動き

2008年9月15日以降について、ダウ平均株価指数は10月7日付近で急落、2009年3月2日付近で最大下落を記録しています。
一方、AGGは2008年10月7日付近で下落した後は上昇に転じていて、暴落に強いことが分かります。
さらに、その時期の株価や2008年9月15日を基準日とした場合の下落幅を見てみると、

リーマンショック時でさえ、AGGの下落幅は約5%でおさまっており、ダウ平均株価指数の約39%の下落と比較すると、暴落に強くかなり値動きが安定したETFであることが分かりますね。

次に2020年のコロナショック時を見てみます。
引用:yahoo! finance
2020年2月10日付近から急落し、3月16日付近でAGG・ダウ平均株価指数ともに最も下落しています。
AGGは下落幅がだいぶ小さくて回復も早く、今回も暴落に強い特性が確認できますね。
さらに、その時期の株価や下落幅を見てみると…

今回のコロナショックでは、AGGの下落幅は今のところ約4%でおさまっており、金利の引き下げとともに上昇に転じています。

②低い経費率
AGGは、多数の優良債権に分散投資しているのに、経費率は0.04%とかなりの低水準です。
これは、ブラックロック社の他の債券ETF21種の経費率が0.06%~0.49%の範囲にあることと比較しても、ずば抜けています。
さらに、低い経費率で有名なバンガード社の債券ETFと比較してみましょう。
バンガード社には、AGGと同じく投資適格債券市場全般を表す指数を目標とする「BND」があります。
BNDの経費率は0.035%で、AGGをわずかに上回っていますが、バンガード社の他の債券ETF15種の経費率が0.06%~0.25%であることを考えると、AGGの経費率は債券ETFの中でもトップクラスの低水準であることが分かります。

③金利下降局面(不景気時)に強い
金利とは「貸した資金の総額に対する利息の割合」のことです。
投資における金利とは、政策金利(各国の中央銀行が出す金利)のことを指します。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は、コロナ・ショックによる景気への影響や失業率改善のため、政策金利を「0.00%~0.25%」に据え置くことを決定、また2022年までゼロ金利を維持する見通しであると発表しました。(2020年6月定例会合にて発表)
金利と債券価格は逆の動きをすると言われ、金利下降局面では、債券価格の上昇が見込まれます。

実際の動きについて確認していきます。
下記は、2015年にAGGへ10,000ドル投資したと仮定した場合の資産のグラフと同時期の政策金利の表です。
3月3日、3月18日に政策金利が0.5%ずつ引き下げられていますが、その直後の3月6日で急激に資産が増加し、いったん減少するものの、3月19日以降また急激に増加に転じています。
このことから、政策金利の引き下げによりAGGの市場価格が上がり資産が増加していることが推測されます。
当面は、AGGの市場価格も下がる可能性は低くなるため、価格変動による元本割れのリスクが少なくなり、より安定した投資先としてのメリットが増します。
AGG投資のリスク(3つ)

①為替リスク
米国ETFを購入する場合は、まず円をドルに変えてから購入するので、ドル資産での運用になります。
ETF購入の際の円→ドル、売却時のドル→円への変換は、その時々の為替レートに従って変えることになるので、円安や円高の為替リスクは避けられません。

何らかの理由で売却せざるおえなくなった時に、為替レートが円高ドル安であった場合には、資産が目減りしてしまうリスクがあります。
AGGについて、2015年に10,000ドル投資したと仮定して、2020年2月~3月の資産額(米ドル)と、その時々の為替レートで円変換した場合の資産額(円)を見てみます。

やはり米ドル建ての資産の増減と変換後の円資産の増減は一致していないことが分かります。
この期間中、ドル資産が一番高くなったのは、3月6日 12,290.88ドルですが、この日のレート1ドル=105.373円で円変換すると、約1,295,100円です。
一方、結果論ではありますが、円資産が一番高くなっているのは2月21日 約1,329,100円(1ドル111.567円)、ドル資産は11913.35ドルとなっています。
②景気・資産の拡大期には不適当
2006年9月から2020年3月までのAGGとダウ平均株価のチャートを見てみます。
リーマン・ショック時には、ダウ平均株価はAGGよりも低く落ち込みましたが、景気回復とともに右肩あがりとなり、コロナ・ショック時の落ち込みを含めてもリターンの差は明確です。
景気が良くなってくると、株式のリターンが圧倒的に良くなるので、相対的に債券ETFのメリットが弱まります。
長期投資で資産形成を目指す段階で、安全性が高いからと債券ETFへ集中して投資することは効率的ではありません。
また、現在ゼロ金利政策が維持されていますが、景気が良くなってきて金利が引き上げられれば、債券価格が下がる可能性もでてくるので、将来的なリスクとなりえます。
現在「ゼロ金利」であり、将来的には引き上げられる方向への変化も十分ありうるということは留意しておいたほうがよさそうです。
③デフォルトリスク(信用リスク)
発行体が破綻することを「デフォルト」といいます。
もしデフォルトが起こると、投資した資金は戻らない 可能性が高くなるので、気を付けたい部分です。
AGG銘柄の約40%を占める米国債は、世界的にみても信用できる資産とみなされています。
発行体である米国のデフォルトはとても考えにくいのですが、絶対ないとも言いきれません。
また、S&P社の国債格付けでは、米国債は最高ランクより1ランク低いAA⁺となっています。
これは米国の債務整理があまり進んでいないとの理由 から2011年に下げられたまま現在にいたります。
もちろん、AA⁺は最高位AAAと比べてそれ程差はなく債務履行能力に問題はないとされる格付けなので、米 国債の信用度が高いことに変わりはありません。
米国のデフォルトも現実的ではないのですが、債券ETFが潜在的にもっているリスクとして留意しておきたい点です。
まとめ
AGGについて、概要・メリットやデメリットをまとめてみました。
AGGは、これ1本で8,000を超える優良債権に分散投資しているのと同じ効果が得られる魅力的な商品です。
また、発行体がほぼ米国政府や政府系金融機関であること、10年未満の債券が80%以上、信用格付AAAランクの銘柄が約70%を占めることから、安全性のたかい債券ETFであることも分かりました。
AGG投資の魅力は、「値動きや分配金が安定していること」「経費率がずば抜けて低いこと」「金利下降局面に強いこと」でした。
またAGG投資のリスクは、「ドル建て資産であることから為替リスクがつきまとうこと」「好景気や資産形成期の投資対象には向かないこと」「潜在的にデフォルトリスクがあること」でした。
以上のことからAGGの活用法は次のような位置づけがいいかと思います。
もちろん、債券ETFである以上は、金利の変動にも注意が必要ですし、為替リスクも気になりますが、株式とともにポートフォリオに加えておけば、株価急落のショックを和らげるクッション的役割を果たしてくれるでしょう。
また、それほど値動きを気にしなくても良いという「抜群の安定感」が、初心者にも扱いやすくて人気の理由かと思います。
資産を安全に守りたい(長期的に現金化する予定がない)方や定期的に入る分配金に魅力を感じる方にはとても良い商品ではないでしょうか。
以上!