こんにちは!ゆきみずです。
皆さんは〝アルトリアグループ〟という企業をご存知でしょうか?
アルトリアグループとは、アメリカ国内で〝たばこ〟業界首位の持株会社です。
米国株投資などされたことがない方には、社名だけ聞いても馴染みのない方が多いかもしれません。
実は、同社で扱うたばこ銘柄には、「マルボロ」や「ラーク」など日本国内でも広く販売・流通されています。

高配当株として長期保有にも推奨される米国株アルトリアグループ(MO)は、投資家からも注目を集める銘柄です。
今回はそんなアルトリア株の魅力やリスクについて徹底分析してみたいと思います!
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アルトリアとはどんな会社?

アルトリアグループとは、子会社と通じて主にたばこの製造や販売を行う持株会社です。
たばこ事業では、アメリカ国内で首位を誇ります。
本社はバージニア州リッチモンドで、従業員数は約7300人。
もとはフィリップ・モリス(PM)の米国事業を手掛ける部門でしたが、2008年に分社化してアルトリアグループとなりました。
フィリップモリスから分社化させた狙いは、健康訴訟リスクを分散させるためだとされています。

アルトリアは〝100%米国内事業〟となり、フィリップモリスは米国外での事業展開となります。
同社の2019年の収益は251億ドル、日本円にして〝約2.71兆円〟。
売上高は〝世界5位〟!
ちなみに日本最大手のたばこメーカーJT(2914)は〝世界4位〟でした。
同社ではワインや大麻なども手掛けていますが、全体の〝90%以上〟がたばこ事業の売上です。


中でも主力ブランドの「マルボロ」はアメリカでのシェアを〝43%〟占めています。
同社のたばこ事業は、以下のように大きく2つに分けられます。
①紙巻たばこ事業(喫煙たばこ)
マルボロやラーク、パーラメント、L&Mなどの銘柄を扱っています。
同社の米国内での紙巻たばこのシェアは〝49.7%〟
アルトリアグループの収益の大部分は、この紙巻たばこに依存しています。
②加熱式たばこ事業(無煙たばこ)
iQOS(アイコス)やJUUL(ジュール)を扱っています。
加熱式たばこの収益は、同社の全収益の〝10%〟に満たない数値ですが、たばこ市場では拡大しつつある事業です。
2020/4/7の株価情報
株価:37.28ドル
1株あたりの配当金(年間):3.36ドル
配当利回り: 9.01%
引用:Googleファイナンス
アルトリア株投資の魅力

高配当
アルトリアグループの一番の魅力は、なんと〝50年連続増配〟を誇る〝高配当株〟ということでしょう。
前述のとおり同社の配当利回りは、〝9.01%〟というかなりの高水準。
もともとたばこ株は配当利回りが高い利点はありました。
上場している世界の主たるたばこメーカーで見てみると…
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フィリップモリス(PM)
➔配当利回り〝6.37%〟
ブリティッシュ・アメリカン(BTI)
➔配当利回り〝7.36%〟
日本たばこ産業(JT)
➔配当利回り〝7.82%〟でした。
※2020年4月7日
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配当利回りの高いたばこ業界の中でも、
〝9.01%〟という数値の高さは
群を抜いていますね。


2008年3月に、海外事業部門をフィリップモリスに分社化し、同社株を割り当てています。
そのため2008年と2009年はチャート上減配しているように見えますが、実際は問題ありません。
アルトリアの配当は年に〝4回〟で〝1月、4月、7月、10月〟が支払い月になります。
同社は2020年4月支払いの配当金を0.84ドルとし、年間1株あたり3.36ドル。
配当性向は80%を目標とする方針を公表しています。
配当性向とは、利益に対してどれくらい配当金を出しているのか割合を示す数値です。
同社の配当性向は、これまで100%を超えることはなく、無理のない範囲で株主還元の姿勢をしっかり示しています。

安定性
安定性を裏付ける要因として、
次の3つが考えられます。
①営業利益率の高さ
②キャッシュフローが潤沢
③寡占市場である
順に見ていきましょう。
①営業利益率の高さ

営業利益率はここ10年くらいの推移を見てみると、〝30%を超えています〟。
営業利益率とは売上高に対しての営業利益の割合を示す数値であり、本業の営業活動でどれだけ効率的に稼ぐことができたか測る指標となります。
一般的に〝10%〟を超えていれば〝優良〟といわれているので、〝30%超え〟はかなり高い数値であり、企業の安定性の高さを裏付けています。
②キャッシュフローが潤沢
一定期間の現金(キャッシュ)の増減をあらわすキャッシュフローは、企業の財務状況を把握するのに有効なデータの1つです。
〝営業キャッシュフロー〟は、本業の営業活動でどれだけ現金を稼ぐことができたかを示す数値で、〝1番注目すべき数値〟です。
〝フリーキャッシュフロー〟は、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを足した数値で〝企業が自由に使用できるお金〟をあらわします。
ともに数値が高ければ良好です。
同社のキャッシュフローは、投資キャッシュフローが低く、営業キャッシュフローが高いため、〝莫大なフリーキャッシュフロー〟を生み出しています。

たばこ会社は設備投資がほとんどかからないという特徴があります。
特に同社の売上に大きく貢献している紙巻たばこについて、現状、特別に設備投資を要する必要はほぼないでしょう。
ただし、近年各社で加熱式たばこの開発・製造がさらに進み、同社のアイコスの売上が伸びれば、設備投資が増加する可能性も考えられます。
寡占市場
たばこ業界は〝寡占市場〟だといわれています。
たばこは常習性があるため、日本では1985年まで専売制とされていました。
現にダントツで世界一のシェアを誇る中国のたばこ市場は、国営企業の中国煙草総公司が担っています。
また、たばこ産業は規制が非常に厳しく、訴訟リスクもあるため、新規参入が難しいという背景もあります。
よって世界のたばこ市場を見ても、上位5社ほどで全体の〝8割〟を超えるシェアを占めています。
このような寡占状態であるため、価格競争も起こりにくく、たばこの値上げも容易に行うことができるのです。

参入障壁も高いから今後も値上げできそうだね
アルトリア株投資のリスク

たばこ市場の縮小
近年、特に先進国では、喫煙に対しての風当たりがますます強くなってきました。

喫煙人口は明らかに減少し、今後もその傾向は続くでしょう。
たばこは依存性も高く、需要が無くなることはありませんが、現状およびこの先も市場が縮小することは避けられません。
寡占業界であるがゆえ、値上げで収益を補ってきた部分はありますが、それでは賄いきれない可能性も今後出てくるかもしれません。

規制リスク
前述のとおり、たばこ事業は規制が厳しく、健康被害の訴訟を起こされるリスクの高い業界です。
現にFDA(米国食品医薬品局)の、ニコチン含有量の規制ニュースが出た際は、〝株価が大幅に下落〟しました。
今後も紙巻たばこのみならず、加熱式たばこにおいても、FDAの規制が厳しくなる可能性は十分考えられるでしょう。

まとめ
アルトリアグループは、〝50年連続増配〟という輝かしい実績があり、今後も増配は続くでしょう。
僕的にはアルトリア株はインカムゲインを得るため、〝長期保有に有望な銘柄〟だと思います。
ただし、たばこ事業は喫煙人口の減少や健康被害など、先行きに懸念はあります。
今後は加熱式たばこや大麻事業など、新しい収益源を確立し、伸ばしていくことを期待したいと思います!
「マルボロ」や「ラーク」は聞いたことある!